小児歯科
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歯医者嫌いの子どもをつくりません
子どもの頃に怖い思いをしてしまうと、たとえむし歯は治っても歯医者嫌いとなり、予防が行き届かなくなります。そして、むし歯や歯周病が重症になってから治療を受けることになりがちで、また痛い思いをしていっそう歯科医院が嫌いになるという悪循環に陥ります。
当院では、子どものときの歯科医院への印象、信頼感こそが重要だと考えています。ですから特に予防に力を入れると共に「怖くない歯医者さん」で、歯だけでなく、顎の発育や噛み合わせ、永久歯もしっかり守り、お子さまの将来にわたる健康づくりのお役に立ちたいと考えています。
段階的に治療に慣れてもらうように心がけています
当院では、初めて歯科治療を受けるお子さまには、可能な限りステップを踏んで歯科医院に慣れてもらっています。器具をお口の中に入れたりお口の中の水を吸ったりなど、治療に必要なことを1つずつクリアしてもらいます。トレーニングを重ねながら歯科治療を受ける準備を整え、お子さまが充分に慣れてから予防や治療を行います。 -
保護者の皆さまへお願いしたいこと
●嘘をついて連れて来ないでください
「○○へ行こう」と嘘をついて歯科医院に連れて来ないでいただきたいのです。「何もしないから」「見るだけだから」「痛くしないから」などは言わないようにしてください。嘘だとわかると、お子さまとの信頼関係が作れません。●怖がらせたり脅かしたりしないでください
お子さまの前で、ご自身が歯科医院で受けた「痛かった体験」などを話すのは避けてください。「いい子にしていないと歯を抜かれちゃうよ」「言うことをきかないと注射してもらうよ」など、お子さまを脅かすようなことは言わないようにしてください。お子さまには何気なく「今から歯を治しに歯医者さんに一緒に行くよ」というように、さりげなく知らせて来院するようにしてください。●リラックスできるように気配りをしてあげてください
受診前に歯磨きとトイレは済ませておきましょう。また、満腹状態での受診は避け、汚れてもいい服装で来院してください。●上手にできたら褒めてあげてください
治療が終わったとき、歯磨きが上手にできたときはたくさん褒めてあげてください。 -
歯はどのように生えてくるの?
歯の生え始めから生え替わりまるまでのプロセスを知り、大切なお子さまの歯を守りましょう。
6~7か月頃から 生後6~7か月になると、乳歯が下の前歯から生え始めます。歯が生えてくる時期は個人差が大きいので、お友だちと比べて遅くても早くてもあまり気にしないようにしましょう。
2歳頃 乳歯の犬歯が生えてきます。この頃から野菜や肉などを前歯で噛み切る能力が高まります。 ポイント:仕上げ磨きを嫌がる場合は、場所を絞って短時間で磨きましょう
3歳頃 乳歯の最後の奥歯が生えてきて、だいたい3歳頃までに20本の乳歯がすべて生え揃います。 ポイント:歯磨きの大切さを教え、お子さまが進んで歯磨きができるようにリードしましょう
6歳頃 乳児から永久歯へ、歯の生え変わりが始まります。顎や体の成長に合わせて、6~12歳頃の間に永久歯に生え変わります。 ポイント:生えてきたばかりの奥歯は歯ブラシが届きにくく汚れが溜まりやすいので、特にていねいに歯磨きをするようにしましょう
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【知っておきたい歯を守る知識】子どものためのブラッシングとフロッシング
赤ちゃんが何でも口に入れるようになる生後4~6か月の頃、スプーンを持てるようになったら、歯ブラシを持たせて慣れさせましょう。危険のないよう、必ずそばで見守ってあげてください。いろいろな角度でブラッシングするように、親子で楽しみながら行ってください。
一番むし歯になりやすい6歳臼歯
6歳頃に生える初めての永久歯が6歳臼歯。頭を出してから完全に萌出するまで、1年から1年半もかかります。その間、乳歯よりも低い位置にあるので歯ブラシの先がよく当たらず、むし歯になりやすくなります。また、永久歯と乳歯の間もむし歯になりやすい箇所です。当院では、シーラントとフッ素塗布による予防をお勧めしています。ブラッシングだけでは不充分、だからフロスによるフロッシング
子どもはおやつなど飲食回数が多い上、唾液の分泌や循環が成人のように充分ではありません。特に、歯と歯の間にできるむし歯を予防するには歯磨きだけでは不充分です。歯ブラシの毛先が届きにくい歯と歯の間の清掃には、フロスを利用しましょう。当院では、歯ブラシによるブラッシングやフロッシングもていねいに指導しています。 -
【知っておきたい歯を守る知識】ご家庭でできるむし歯予防
むし歯菌は、生後6か月~3歳の間に最も感染しやすく、一度感染すると一生その種類の菌を持ち続けます。感染の機会を少なくするには、子どもの身近な人(母親、父親、祖父母など)のむし菌を減らし、同じ箸で食べたり口移しで食べさせたりしないことも大切です。
仕上げ磨きをしてあげましょう
小学校3~4年生までは、保護者の方が夜寝る前に仕上げ磨きをしてあげてください。磨いたあとは、就寝まで食べ物やジュース、デザートなどを与えないでください。水やお茶ならば飲んでも構いません。●仕上げ磨きのコツ 両足でお子さまの腕を固定し、頭をはさみます。左の人差し指と中指で唇をひろげ、歯ブラシを右手で鉛筆を持つように持ち、軽い力で横に10回細かく動かします。このとき、毛先が前歯の歯ぐきに当たらないように気をつけます。上の前歯から奥へ、奥から前歯へ、下の前歯から奥へ、というように順番を決めて、まんべんなく磨きましょう。
<むし歯ができやすいところを念入りに> 乳歯は上下10本ずつ、計20本あります。それぞれ奥の2本が臼歯という、いわゆる奥歯です。この奥歯の溝の部分、奥歯の歯と歯の間がむし歯になりやすいところですから、特に念入りに歯磨きすることが必要です。むし歯を防ぐ生活習慣を身につけましょう
フッ素入り歯磨き剤・フッ素のうがい薬など、ご家庭でも毎日フッ素を使うようにしてください。キシリトール100%のガム・タブレットを利用しましょう。また甘いものは、量ではなく与える回数が問題です。回数を決めて、できるだけその回数を減らすようにしてください。 -
【知っておきたい歯を守る知識】赤ちゃんとお母さまの歯科予防
妊娠中のお口の中は、生活習慣や体質の変化から通常よりもむし歯や歯周病になりやすいので注意が必要です。
●妊娠中のお口の変化
・つわりによる吐き気で奥歯の歯磨きが難しくなって磨き残しが多くなり、お口の中で酸性の状態が長く続くためむし歯ができやすくなる
・女性ホルモンが増加して歯肉に炎症が起こりやすく、妊娠性歯周炎を引き起こしやすい
・唾液の性質が変化してお口の中がネバネバになり、細菌が活動しやすくなる妊娠中のお口のチェックとクリーニングをお勧めします
歯周病のひどい妊婦さんは、歯周病菌の影響で早産や低体重児出産などの妊娠トラブルの危険性が高くなることが報告されています。また、母子感染によって乳幼児にむし歯菌が移ってしまうことがあり、むし歯の多いお母さまの子どもは早くからむし歯になる危険性が高いと言われています。さらに、赤ちゃんが生まれると多忙になるため歯科治療を受けにくくなります。お母さまのお口の中を清潔にし、赤ちゃんの歯と健康を守るためにも、歯科医師による妊娠中のお口の健康チェックと歯のクリーニングを受けましょう。
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子どもの歯を守るためのQ&A
Q:どんなに気をつけていてもむし歯になりますか?
A:原因と予防法を理解すれば、むし歯はほとんど予防できます。Q:甘い物が大好きだからむし歯になるの?
A:歯科予防の先進国フィンランドでは平均的に日本の倍の砂糖を摂取していますが、むし歯の発生率はぐっと低いのです。甘い物を食べていてもむし歯の予防は可能です。Q:甘い物をほとんど食べなければむし歯にはなりませんか?
A:たとえば、ゲームをしながら長時間だらだらとスナックを食べていたり、糖分の入った飲み物を少しずつ飲んだりしていても、むし歯になりやすくなります。Q:歯科医院はむし歯ができたら行くところ?
A:いいえ、むし歯ができる前に行くところです。予防のため、歯科医院で積極的に歯のクリーニングをしたりフッ素を塗ったりしてむし歯を予防します。Q:むし歯は遺伝しますか?
A:いいえ。むし歯は感染と生活習慣による病気です。正しい予防によって防ぐことができます。